フラッシュライトの基本性能規格 ANSI FL1 Flashlight Basic Performance Standard

フラッシュライト関連
カンデラ
カンデラ

えふえるわん?

ルクス
ルクス

ANSI FL1の事ね。

カンデラ
カンデラ

あたらしいポテチの味?!

ルクス
ルクス

ANSI FL1はライトの基本性能規格の事よ。

カンデラ
カンデラ

性能規格なんてあるんだ。

ルクス
ルクス

ルーメンやルクス、カンデラも出てくるわよ。

カンデラ
カンデラ

なにそれ、私が出てくるの?教えて!

 

フラッシュライトの基本性能規格 ANSI FL1

今回の記事では、ANSI FL1 Standardで定められた6つの評価項目について抜粋して説明してみます。

以前、初めてのフラッシュライトの選び方でも記載しましたが、ANSI FL1 Standardは、米国フラッシュライト製造業者が取り決めたライトの性能評価規格の事です。

ANSI FL1制定前は、統一されたフラッシュライトの性能評価規格、基準が無かったため、フラッシュライトの明るさなど各社バラバラの表記をしており、我々ユーザーにとってわかりにくい状態が続いていました。

そのため、フラッシュライトの統一評価規格を設けることを目的に、ANSI FL1 Standardが作られました。

 

全てのライトがANSI FL1 Standardに準拠しているわけではなく、謎の自社基準ルーメンや、自社基準防水性をうたっている製品も散見しますが、お仕事でフラッシュライトを使われる場合などは、しっかりとした性能根拠のある製品を選ばれた方が安心です。

 

下の目次は長いですが、6つの試験項目毎に、それぞれの試験条件などを記載しているためで、重複もあります。気になった試験項目だけ目次から飛んでみても良いと思います。

 

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  1. ANSI FL1とは?
  2. ANSI/NEMA FL 1-2009:Flashlight Basic Performance Standard抜粋
    1. 第一項 概略
    2. DEFINITIONS:定義
      1. 1 Beam Distance:照射到達距離
      2. 2 Peak Beam Intensity:最大発光強度
      3. 3 Run Time:持続時間
      4. 4 Light Output:光出力
      5. 5 Impact Resistance:耐衝撃性
      6. 6 Enclosure Protection Against Water Penetration Ratings:耐水性
      7. 7 Hand-Held/Portable:可搬性
      8. 8 Spectroradiometer:分光放射計
      9. 9 Light Measuring Device:光測定装置
      10. 10.Surface Light Intensity:表面照度
      11. 11 Integrating Sphere:積分球
    3. SAMPLE SIZE AND ORDER OF TESTING:サンプル数、および評価方法
      1. 1 Performance Testing:性能評価
      2. 2 Reliability Testing:信頼性評価
    4. UNITS OF MEASURE:測定単位
    5. 第二項 試験方法
    6. 1 GENERAL:概略
      1. 1 試験条件
      2. 2 Sampling Selection:試験標本選定
    7. 2 BEAM DISTANCE:到達距離
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Power Source:電源
      3. 3 Conditions:条件
      4. 4 Apparatus:機器
      5. 5 Procedures:試験手順
      6. 6 Final calculations:最終計算
    8. 3 PEAK BEAM INTENSITY:最大光度
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Power Source:電源
      3. 3 Conditions:試験条件
      4. 4 Apparatus:機器
      5. 5 Procedures:試験手順
      6. 6 Final calculations:最終計算
    9. 4 RUN TIME:持続時間
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Power Source:電源
      3. 3 Conditions:試験条件
      4. 4 Apparatus:機器
      5. 5 Initial and End Point:初期値および最終値
      6. 6 Final Calculation:最終計算
    10. 5 LIGHT OUTPUT:光出力
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Power Supply:電源
      3. 3 Conditions:試験条件
      4. 4 Apparatus:機器
      5. 5 Test Equipment Sampling Calibration:試験機器校正
      6. 6 Procedures:試験手順
      7. 7 Final Calculation:最終計算
    11. 6 IMPACT RESISTANCE:耐衝撃性
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Conditions:試験条件
      3. 3 Apparatus:機器
      4. 4 Drop Test:落下試験
      5. 5 Passing Criteria:合格基準
      6. 6 Impact Resistance Rating:耐衝撃性評価
    12. 7 ENCLOSURE PROTECTION AGAINST WATER PENETRATION RATING:耐水保護等級
      1. 1 Purpose:目的
      2. 2 Conditions:試験条件
      3. 3 Apparatus:機器
        1. 3.1 Water Resistant:防まつ性
        2. 3.2 Water Proof:防浸性
        3. 3.3 Submersible:耐水中性
      4. 4 Test Procedure:試験手順
        1. 4.1 Water Resistant:防まつ性
        2. 4.2 Water Proof:防浸性
        3. 4.3 Submersible:耐水中性
      5. 5 Passing Criteria:合格基準
        1. 5.1 Water Resistant:防まつ性
        2. 5.2 Water Proof and Submersible:防浸性および耐水中性
        3. 6 Enclosure Protection Against Water Penetration Rating:水の浸入に関する筐体の保護レベル
  3. 終わりに

ANSI FL1とは?

正確には、「ANSI/NEMA FL 1-2009:Flashlight Basic Performance Standard」が、2009年8月に作られ、その後、2016年8月にANSI/NEMA FL 1-2009を元にした、「ANSI/PLATO FL 1-2016 Standard」が作られました。

ANSI/NEMA FL1-2009 StandardとANSI/PLATO FL 1-2016 Standardの主な相違点については、「使用言語・文言の統一」、「重複した試験操作の削減」、「試験方法の洗練化」、「使用アイコンの一部変更」があげられています。評価規格、基準自体の変更はありません。

 

ANSIはApproved American National Standard:米国国家規格協会であり、工業製品の標準化を行う組織の事を指します。

NEMAは National Electrical Manufacturers Association:米国電機工業会によって標準化された、発電、送電等に使用されている電気製品の規格の事を指します。

PLATOはPortable Lights Trade Organization:可搬用電灯貿易団体とでも訳すのでしょうか。PLATOも米国ライト製造業者中心に立ち上げられた組織です。

 

ANSI/NEMA FL1-2009 Standardの制定にあたっては、以下14社の協力の下、標準化が進められました。

Dorcy International
Princeton Tec
Coast Portland
Surefire, LLC
Golight
Petzl
The Brinkman Corporation
Energizer Holdings
ASP Inc.
Streamlight, Inc.
Cat Eye Co., Inc.
Black Diamond
The Coleman Company Inc.
Duracell, Inc.

 

お馴染みの、SurefireやStreamlight、PetzlにBlackdiamondの他に、DuracellやEnergizerも入っていますね。

 

ANSI/PLATO FL 1-2016 Standardの制定にあたっては、以下11社の協力の下、標準化が進められました。(ANSI/NEMA FL1-2009 Standardに入っていなかった業者はにしました)

ASP, Inc.
Cat Eye Co., Inc.
Coast Portland
The Coleman Company, Inc.
Dorcy International
Energizer Holdings
Insight 2 Design, Inc.
Leatherman Tool Group, Inc.
Nite Ize, Inc.
Panasonic
Streamlight, Inc.

 

PLATO加入メンバについては、Surefire、ACEBEAM、FENIX、NITECORE、JetBeam、LEDRENSER、NEXTORCH、Nite Ize等のフラッシュライトメーカーが並んでいました。

 

ANSI/NEMA FL1-2009 Standard、ANSI/PLATO FL 1-2016 Standard共に、制定に関わった製造業者だけがANSI FL-1を使っているわけではありません。
他のフラッシュライトメーカー各社も、ANSI FL-1に賛同し、定められた評価規格、基準を満たした場合、ANSI FL-1の表記、ロゴマークをつけることが出来ます。

 

ANSI FL1では、1.照射到達距離、2.最大光度、3.持続時間、4.光束、5.耐衝撃性、6.耐水性の6つに及ぶ評価規格が設けられ、各評価規格に沿って、第三者機関、または自社での試験が行われます。それら試験に合格した場合、製品にFL1試験結果についての記載やアイコン表示(記事トップにあげたようなアイコン)が行われます。

 

なお、文中に出てくる照度、輝度などの語句については、別記事「光関連の用語と単位 -ルーメン、ルクス、カンデラ」に記載しています。

 

それでは、いきましょう。

 

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ANSI/NEMA FL 1-2009:Flashlight Basic Performance Standard抜粋

第一項 概略

DEFINITIONS:定義

FL1 Standardで使用する語句について、以下11の定義が記載されています。

1 Beam Distance:照射到達距離

フラッシュライトから照射された光が、0.25[lx]となる点の到達距離。0.25[lx]は晴れた日の満月時の明るさとほぼ同等。

2 Peak Beam Intensity:最大発光強度

光の中心軸上の最大発光強度であり、カンデラ[cd]で表され、距離とは無関係な値。

3 Run Time:持続時間

照射開始30秒後の出力を100%とし、出力が10%に到達するまでの時間。

ANSI FL1では、初期出力と最終出力だけでランタイム、持続時間を計測しているため、同じランタイム表記のライトであっても、ほぼ同一光束のまま維持するような設計なのか、すぐに光束が低下するような設計なのかは判断が付きません。
(光束測定に関わる最初の2分間だけ1000lmで、その後すぐに150lmに落ちるようなセッティングを行えば、ランタイムを見かけ上延ばせます)

光束(または光度や照度)v.s. ランタイムのグラフを載せているライトがあれば、よりユーザー目線での製品だと考えます。(詳しくはこちらの記事)

4 Light Output:光出力

全光束であり、光エネルギー(放射束)を比視感度により重み付けした値。単位としては[lm]ルーメンを用いる。

5 Impact Resistance:耐衝撃性

堅い表面に落とされたとき、どの程度耐えることが出来るかの程度を表す指標。

6 Enclosure Protection Against Water Penetration Ratings:耐水性

ANSI/IEC 60529(https://www.nema.org/Standards/ComplimentaryDocuments/ANSI-IEC-60529.pdf)で規定された、筐体強度を示す指標。

IPX4:全方向からの飛沫を受けても、その機能に影響が無いこと
IPX7:筐体が一時的に水没しても、その機能に影響が無いこと
IPX8:筐体が連続的に水没しても、その機能に影響が無いこと

FL1 Standardでは、IPX4,7,8についてのみ記載があります。

7 Hand-Held/Portable:可搬性

片手、もしくは両手で装置を扱えるくらい小さく、簡単に持ち運びできること。
(フラッシュライト、ヘッドランプ、スポットライト、自転車用ライト等)

8 Spectroradiometer:分光放射計

光を波長により分類する装置。本標準規格にのっとり、可視スペクトル範囲(380nm-790nm)における被検装置の全スペクトルおよび全光束を測定する。

9 Light Measuring Device:光測定装置

光源から測定表面に至る光量を測定するための市販の装置。通常、この装置は製造業時に校正され、使用者にとって一定の制度を保証する。また、ライトメーター、フォトメーター、CCDカメラ、または他の技術に基づくシステムとする事が出来る。測定装置はCIEで定められた比視感度により校正する必要がある。

10.Surface Light Intensity:表面照度

表面上の光の強さとして、表面照度として定義され、ルクス[lx]の単位で測定される。

11 Integrating Sphere:積分球

本標準規格にのっとり、積分球は入射口を有する測定装置である。被検装置から発する全ての光を受け入れるか、被検装置自体を完全に取り込むことが出来る。

SAMPLE SIZE AND ORDER OF TESTING:サンプル数、および評価方法

1 Performance Testing:性能評価

性能評価は、到達距離、最大光度、光束および持続時間を含む。これらは、個別の試験要件で定義される。

a.到達距離:サンプル数 3
b.最大光度:サンプル数 3
c.光束:サンプル数 3
d.持続時間(電池寿命):サンプル数 3

性能評価は同時に実施する事が出来る。

2 Reliability Testing:信頼性評価

信頼性評価としては、耐衝撃性試験、耐水性試験を含む。これらは、個別の試験要件で定義される。

a.耐衝撃性:サンプル数 5
耐衝撃性試験は他の信頼性評価試験よりも優先して実施される。
b.耐水性試験:サンプル数 5
c.耐衝撃性試験と耐水性試験を行う場合、同一の被検装置(ライト)を使用する。被検装置は、耐衝撃性試験が完了した後にのみ、耐水試験が実施されなければならない。

光束関連の測定が3件のサンプルであるのに対して、耐衝撃、耐水性試験は5件のサンプル試験を行うのですね。

UNITS OF MEASURE:測定単位

全ての測定単位には、SI単位を使用する。

 

第二項 試験方法

1 GENERAL:概略

1 試験条件

試験条件は、22+-3℃、平均湿度50%、最大湿度80%の環境とする。
周辺環境光の条件としては、以下2つのうちどちらか最小値とする。1[lx]または、テスト中に観測された周辺環境光最小値の1割以下。

測定機器は、NIST規格に準拠した認定第三者機関によって毎年校正されなければならない。記録は校正履歴に保存されなければならない。

2 Sampling Selection:試験標本選定

すべての試験標本は、最終製品から選定されなければならない。複数の光出力グレードが存在する場合、最も低出力グレードを試験標本に使用しなければならない。

2 BEAM DISTANCE:到達距離

注:到達距離と最大光度では同一の試験データを使用しなければならない。

1 Purpose:目的

被検装置(フラッシュライト)が30秒から2分の動作時間内に、0.25[lx]の光を生成することが出来る到達距離を決定する手順を提供する。

2 Power Source:電源

全ての試験は、新品の電池か、満充電された装置を使用して行われる。
試験に使用される電池は、製品と共に販売されるものと同じタイプ、また同一ブランドで無ければならない。
製品が電池なしで販売され、到達距離の記載が行われる場合は、特定の電池種と化学組成をパッケージに含めることが推奨される。製造元が推奨する電池を試験に使用する。

補足:化学組成=アルカリとかリチウムとか

3 Conditions:条件

機器が複数の出力レベルを有する場合、到達距離は最大出力時を用いるか、出力レベルが特定されなければならない。
機器が焦点調節機能や光軸調整機能を有する場合、到達距離が最大値となるような焦点、光軸に設定されるか、それらが特定されなければならない。

4 Apparatus:機器

時間計測器、距離計測器、ルクス[lx]表示の光量計測器が用いられる。最小開口面積は100平方ミリメートルとする。

5 Procedures:試験手順

測定器との距離として、2m、10mまたは30mの場所に被検装置(ライト)を設置する。試験時の距離は、被検装置(フラッシュライト)レンズ、または開口部の10倍以上の距離とする。
照度測定器を用いて、最大値を記録する。
測定は、点灯30秒後から2分経過するまで行われる。

6 Final calculations:最終計算

逆平方法を使用して、0.25ルクスまでのビーム到達距離を次のように計算する。

表面照度*(距離)^2=最大光度
√(最大光度/0.25)=到達距離

ここで
表面照度:ルクス[lx]
距離、到達距離:メートル[m]
最大光度:カンデラ[cd]

公表される結果は、3つの被検装置(ライト)で試験した値の平均値とする。

補足:表面照度[lx]を実測し、そこから到達距離を算出しています。
 

3 PEAK BEAM INTENSITY:最大光度

注:到達距離と最大光度では同一の試験データを使用しなければならない。

1 Purpose:目的

点灯後30秒から2分間の最大光度(カンデラ値[cd])を決定するための手順を提供する。

2 Power Source:電源

全ての試験は、新品の電池か、満充電された装置を使用して行われる。
試験に使用される電池は、製品と共に販売されるものと同じタイプ、またブランドで無ければならない。
製品が電池なしで販売され、到達距離の記載が行われる場合は、特定の電池種と化学組成をパッケージに含めることが推奨される。製造元が推奨する電池を試験に使用する。

3 Conditions:試験条件

機器が複数の出力レベルを有する場合、到達距離は最大出力時を用いるか、出力レベルが特定されなければならない。
機器が焦点調節機能や光軸調整機能を有する場合、到達距離が最大値となるような焦点、光軸に設定されるか、それらが特定されなければならない。

4 Apparatus:機器

時間計測器、距離計測器、ルクス[lx]表示の光量計測器が用いられる。最小開口面積は100平方ミリメートルとする。

5 Procedures:試験手順

測定器との距離として、2m、10mまたは30mの場所に被検装置(フラッシュライト)を設置する。試験時の距離は、被検装置のレンズ、または開口部の10倍以上の距離とする。

照度測定器を用いて、最大値を記録する。

測定は、点灯30秒後から2分経過するまで行われる。

6 Final calculations:最終計算

表面照度*(距離)^2=最大光度

ここで
表面照度:ルクス[lx]
距離、最大到達距離:メートル[m]
最大光度:カンデラ[cd]

公表される結果は、3つの被検装置(ライト)で試験した値の平均値とする。

補足:表面照度[lx]を実測し、そこから最大光度を算出しています。
 

4 RUN TIME:持続時間

1 Purpose:目的

ユーザーが一般的にバッテリを交換するときの光出力が一定のレベルに達するまでの経過時間(連続動作中)を決定する手順を提供する。

2 Power Source:電源

全ての試験は、新品の電池か、満充電された装置を使用して行われる。
試験に使用される電池は、製品と共に販売されるものと同じタイプ、またブランドで無ければならない。
製品が電池なしで販売され、到達距離の記載が行われる場合は、特定の電池種と化学組成をパッケージに含めることが推奨される。製造元が推奨する電池を試験に使用する。

3 Conditions:試験条件

機器が複数の出力レベルを有する場合、到達距離は最大出力時を用いるか、出力レベルが特定されなければならない。
電池搭載後、被検装置(フラッシュライト)は確実に固定されていなければならない。

4 Apparatus:機器

時間計測器、光量計測器が用いられる。

5 Initial and End Point:初期値および最終値

点灯開始30秒後の値を初期値とする。光量測定を行う際に、試験開始から終了まで、被検装置先端から測定器までの距離は同一で無ければならない。

フラッシュライトは連続点灯とし、途中で電源を切ってはならない。(注:被検装置が自動電源停止機能を有している場合、試験者は15秒以内に再度電源を入れなければならない)

定期的に光量と時間が記録され、各測定における初期値の10%に到達した地点を最終値とする。

各測定における持続時間を記録する。

6 Final Calculation:最終計算

持続時間は、3回測定した平均値とする。1時間以内の持続時間の場合は、「分」で表記される。1時間以上10時間未満の持続時間の場合、最も近い15分で端数処理し、「時」、「分」で表記される。
10時間以上の持続時間の場合、持続時間は標準的手法で端数処理し、「時」で表記される。

10時間未満のFL1のランタイム表記が15分単位なのはこのためですね。

 

5 LIGHT OUTPUT:光出力

1 Purpose:目的

被検装置(フラッシュライト)から発する全光束を求める手法を提供する。

2 Power Supply:電源

全ての試験は、新品の電池か、満充電された装置を使用して行われる。
試験に使用される電池は、製品と共に販売されるものと同じタイプ、また同一ブランドで無ければならない。
製品が電池なしで販売され、到達距離の記載が行われる場合は、特定の電池種と化学組成をパッケージに含めることが推奨される。製造元が推奨する電池を試験に使用する。

3 Conditions:試験条件

試験は前述の試験条件に沿って行われる。

機器が複数の出力レベルを有する場合、到達距離は最大出力時を用いるか、出力レベルが特定されなければならない。
機器が焦点調節機能や光軸調整機能を有する場合、光出力が最大値となるような焦点、光軸に設定されるか、それらが特定されなければならない。

4 Apparatus:機器

スペクトル補正用の分光放射計と、全光束測定用の計算ソフトウェアを備えた積分球を使用しなければならない。

測定に用いる積分球は、光の入射口径の3倍以上の直径でなければならない。

5 Test Equipment Sampling Calibration:試験機器校正

試験装置は製造業者の説明通り、テスト装置毎に正しく校正されなければならない。
校正手順はNIST規格に準拠したランプが含まれていなければならない。

6 Procedures:試験手順

被検装置を外部取り付け装置、または積分球内の内部取り付け装置にしっかりと取り付ける。
測定器製造業者が推奨する測定器の飽和レベルに基づき、露出値が設定されなければならない。

測定される被検装置毎に、色試料の吸収補正を完了する必要がある。

点灯開始後、30秒から2分間の連続運転で測定される必要がある。

7 Final Calculation:最終計算

光出力は、3回ルーメン値を測定した平均値とする。標準的手法で端数処理を行う。

 

6 IMPACT RESISTANCE:耐衝撃性

1 Purpose:目的

特定の衝撃条件の元で、携帯型照明装置の構造的完全性を保証する事を目的とする。
試験手順は、製品が耐衝撃試験の結果として、最低限度の信頼性基準を満たすことを保証する仕様および方法を提供する。

2 Conditions:試験条件

試験は前述の試験条件に沿って行われる。

3 Apparatus:機器

以下の機器を用いる。
-衝突面として、最小厚さ4cmの硬化コンクリートを用いる。衝突面の面積は最低1平方メートルとする。
-落下時の高さを測定するための装置

4 Drop Test:落下試験

電池、ゴム、ハンドストラップなど意図した全てを装着した状態で、被試験装置を落下させる。

落下試験の高さは最低1[m]とする。

試験や製品要求のため、より高い場所からの落下試験を行うことが出来る。しかし、1[m]と異なる落下耐性を主張するためには、以下の要件を全て満たさなければならない。

各サンプルは、立方体に近似する衝突方向を用いて6回実施される。
各サンプルは、近似された立方体の各方向毎に落とされなければならない。
サンプルは、落下試験の前に、6つの落下方向が全てテストされていることを保証できる方法で印をつける必要がある。
サンプルは電池込み、電源オフの状態で実施される。
サンプル落下時、最も低い部位が正しい高さとなる必要がある。
サンプルは、1回の落下試験毎に休ませることが出来る。
サンプルは、各落下試験後に検査される。
落下時、重力以外の力を加えてはならない。

フラッシュライトを6面体に模したとして、スイッチ面やレンズ面等、各6面全てを落下させないといけないのですね。(落下時に転回して意図しない面で衝突しそうですね・・・)

5 Passing Criteria:合格基準

落下試験後、通常の視力で見える亀裂や破損を生じてはならない。
被検装置は、全ての機能が動作しなければならない。工具や交換部品を使わない範囲で、分解組み立ては許容される。傷、こすれ、へこみ、摩耗などの見た目の欠陥は、故障の理由とはみなされない。

6 Impact Resistance Rating:耐衝撃性評価

被検装置は、耐衝撃性を保証するために、最低1[m]からの落下試験を通過する必要がある。
落下試験は1[m]毎に標準的手法で端数処理される。
5回の試験サンプルは全て、決められた高さからの落下試験を通過する必要がある。

某E社のフラッシュライトはFL1 Standard上は5mになっていますが、ヘリからライトを落としても点灯していましたね。

7 ENCLOSURE PROTECTION AGAINST WATER PENETRATION RATING:耐水保護等級

1 Purpose:目的

水による機器損傷からの保護性能を保証する為の評価。
この手順には、特定の条件下で水に暴露された結果、機器が信頼性の最低基準を満たすことを保証する仕様と方法が含まれています。

2 Conditions:試験条件

試験は2.1.1の試験条件に沿って行われる。
試料は電池込みで、電源オフの状態で試験される。

3 Apparatus:機器

3.1 Water Resistant:防まつ性

IPX4試験のため、ANSI/ICE60529、14.2.4項に記載されているように、水圧、方向、および時間で全方向から水を噴霧するための装置が使用さる。

3.2 Water Proof:防浸性

IPX7試験のため、ANSI/ICE60529、14.2.7項に記載されているように、装置全体を水に浸すのに十分な1[m]の深さ水槽が使用さる。

3.3 Submersible:耐水中性

IPX8試験のため、ANSI/ICE60529、14.2.8項に記載されているように、装置全体を水に浸すのに十分な深さの水槽、または加水圧槽が使用さる。

4 Test Procedure:試験手順

4.1 Water Resistant:防まつ性

IPX4試験として、ANSI/ICE60529 14.2.4項に記載

4.2 Water Proof:防浸性

IPX7試験として、ANSI/ICE60529 14.2.7項に記載

4.3 Submersible:耐水中性

IPX8試験として、ANSI/ICE60529 14.2.8項に記載

5 Passing Criteria:合格基準

5.1 Water Resistant:防まつ性

すべての試験サンプルは、試験の直後および試験の30分後に正常に機能しなければならない。 上記の条件が満たされている限り、入水が許容される。

補足:IPX4では機器が正常に動作すれば、機器に水が入っても良い。
5.2 Water Proof and Submersible:防浸性および耐水中性

すべての試験サンプルは、試験の直後および試験の30分後に正常に機能しなければならない。

保護されていない電気部品(接点、バッテリ、PCB、電線)または光源が含まれている機能領域に水が浸入していない場合、防水および水中試験合格とする。

水から、接点、バッテリ、PCB、電線または光源等が保護されなければならない。

補足:IPX7、8では機器に水が入ってはダメ。
6 Enclosure Protection Against Water Penetration Rating:水の浸入に関する筐体の保護レベル

水深の定格はメートルで表し、最も近い値に切り捨てる。
5つの試験サンプルはすべて定格の深さを超えなければならない。

他、FL-1マーク、アイコン表記のルール等が記載されていますが、ここでは割愛します。

 

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終わりに

ANSI FL1 Standard試験の内容がなんとなく分かったでしょうか?

個人的には落下試験や耐水試験など、想像していたよりも厳しめな試験をしていると感じました。

 

また、測定機器準備だけで無く、それら測定機器校正や記録の保持など、これらの試験をフラッシュライト製造業者自身で全てまかなうには、それなりのコストになりそうですね。

 

ランタイム、持続時間の所でも補足しましたが、ANSI FL1については時間経過による光度、光束低下の推移が不明な点など、フラッシュライトの実使用においてはまだまだ改善の余地があると思います。

 

ただ、電源とLEDだけ用意すれば、とりあえずは点灯する製品が製造出来てしまうことから、我々ユーザーとしては、何らかの製品品質の目安となる基準が欲しい事も事実です。

そのような点から、FL1 Standard準拠の有無については、(不完全な点はあるものの)フラッシュライト選定時の一つの目安になると考えています。

 

それでは!

参考サイト:

 

Standard
Buying a flashlight, headlamp, bicycle light, or spotlight can be a confusing proposition. The ANSI/PLATO FL 1 2016 Standard and PLATO provide clarity.

ANSI/PLATO FL 1 2016 Standard

 

https://www.nema.org/Standards/ComplimentaryDocuments/FL-1-2009-final.pdf

NEMA ANSI FL1

https://www.streamlight.com/docs/default-source/ansi-documents/ansi-pres.pdf

Streamlight ANSI/PLATO FL1 Standard

 

2018/11/15

 

 

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コメント

  1. オロナミン市 より:

    日本語に翻訳されたものを読む事が出来、理解しやすかったです。記事を公開して下さりありがとうございました。

    ひとつ気づいたのですが、記事中に「到達距離」という言葉が、到達距離ではない項目に繰り返し出てきて、意味不明になっています。コピペ作業で間違えた時のような印象を受けましたので、念のためお知らせします。
    (お役に立てば良いのですが、勘違いならすみません)